犬を飼うということ

ひとり暮らしの「愛犬家」なんていない あなたに犬を飼う資格はありますか?

最終更新日:2016年10月25日

ひとり暮らしで犬を飼おうと思っている方へ

あなたには、犬を飼う資格はありません。
犬は社会性の動物です。
先祖であるオオカミの時代から、群れで暮らしてきました。
一匹狼とは、ごくごく限られた一時的な状況に過ぎません。

オオカミが犬となりヒトと暮らすようになってからも、人々の集団と共に暮らしてきました。
小さな家や部屋に閉じ込められ、群れの構成員が自分と飼い主しかいない。
そんな状況は、犬の歴史上ありませんでした。

帰宅すると、千切れんばかりにしっぽを振って喜んでくれます。
裏を返せば、一緒にいたいということ、寂しかったということ、ひとりにしないでということではないでしょうか。

分離不安等の問題は、ひとり暮らしというよりも、幼少期のペット流通に原因があります。
ですが、群れの仲間が誰かしら常にいる状況であれば、それほどひどくはならないでしょう。

現実的に

犬も年を取ります。
痴呆の症状が現れたり、体の自由が効かなくなります。
緑内障にもなりやすく、生きているうちに失明する確率は人間よりはるかに高いです。
病気や事故で、障害を負うこともあります。

つきっきりの看病や介護が必要になることもあります。
あなたは、対応できますか?

そこまで行かなくても、急病になることもあります。
仕事を休むことができますか?

旅行に行くときには、欧米諸国のように一緒に行くことが難しいところも多いです。
海外旅行は事実上不可能です。
犬がいる十数年の間、旅行に行かない覚悟はありますか?

ペットシッターや、ペットホテルがあると安易に思った方、
あなたには、特に資格がありません。

もちろん、子供と同じで親や友人の協力が得られるのであればまだいいでしょう。

私の知人は、小さな不注意で愛犬を亡くしました。
夫婦のふたり暮らしでしたが、夫婦揃って出かけるときに、奥さんの鞄が犬の届くところにありました。
まだ1歳のやんちゃな小型犬でした。
鞄の中には、奥さんが常用している薬がありました。
彼は薬を誤飲し、夫婦が帰宅したときには、口から泡を吹いて意識不明の状態でした。
2日間生死の境をさまよい亡くなりました。

うっかり不注意はどんな状況でも起こりえます。
ですがひとり暮らしでは、そのような状況が多くなります。
一日の大半を留守にしていることがほとんどではないでしょうか。

たとえ、ペット見守りサービスやウェブカメラを設置していても、
緊急な状況であると気づけますか?
気づいたとして、即座に帰宅するなり対処することができますか?

また、犬には毎日運動が必要です。
疲れて帰ってきたときも、お散歩に行けますか?

ご飯代も予防注射などの診療代もペットグッズも、それなりに費用がかかります。
病気になると数十万円の治療費が必要となることもあります。
経済的な余裕や蓄えはありますか?

犬は、しゃべることが出来ません。
体の調子が悪くても、出来るだけ隠そうとします。
たとえ不調を訴えてきたとしても、気づくことができますか?
人間と同じように、頭が痛くなったり、お腹が痛くなったり、気分が悪かったり、歯が痛くなったりします。
ですが、なにも言ってきません。
気づいてなんとかしてあげられるのは、飼い主しかいません。
気づくことができますか?

数年後には誰かと結婚して専業主婦になるとか、根拠のない理由で言い訳していませんか。
希望的観測で犬の幸せを踏みにじるのはやめてください。

そんなことを言ったらきりが無いですか?
夫婦であっても離婚の可能性がある。
子供がいても、大きくなって家を出て行くかもしれない。
失業して経済的に困窮するかもしれない。
事故などで健康を害してお散歩に行けなくなるかもしれない。

犬を飼う資格がある人なんて、ひとり暮らしに限らずほとんどいなくなってしまう。と反論がありそうです。
その通りです。
私は、日本で犬を飼っている多くの人には犬を飼う資格がないと思っています。

私の経験

そういう私には、もっと犬を飼う資格がありません。
ひとり暮らしだからというだけではなく。
私は実家にいるときに犬を飼っていました。
彼の病に、気づいてあげることが出来ませんでした。
あのとき、もう少し気をつかっていれば。
健康診断に行っていれば。
彼が病に苦しみ、ツラい思いをしているときも、私はなにもしませんでした。
気づいたのは、手遅れな状況になってからでした。
寿命はまだ先でした。
気づくことができない病ではありませんでした。
彼は苦しみ死んでいきました。
10年以上前ですが、彼の最後のひと息は、今でもはっきりと覚えています。
文字通り、やっと楽になれたと言っているような気がしました。
それでも、彼は最後の瞬間まで、生きることを諦めていませんでした。
それなのに、私が、彼を苦しめ、殺しました。
犬が大好きなので、私は一生犬を飼いません。

現在ひとり暮らしで犬を飼っている方

資格がないから飼うのをやめろといっているのではありません。

あなたの愛犬は、あなたのことを愛しています。
あなただけを頼りに生きています。
愛犬の幸せも、生死すらも、あなた次第です。
安易に飼い続けるとか飼うのをやめるとか決めるのはなく、愛犬のためになにが一番いいのか、よく考えてください。
悩んでください。

そして、少しでも一緒にいてあげてください。
飲み会の回数を1回減らして、早く帰ってあげてください。
日々の生活の中では、愛犬が健康でいることが当たり前だと思ってしまいます。
もしかしたら、と、常に考えてあげてください。

気づいてあげられるのは、あなたしかいません。
手を借りられる家族や知人がいるのであれば、頼ってください。


愛犬と主に生きる暮らしは、とても有意義で幸せなものです。
その幸せをあなただけではなく、愛犬もまた共に感じられるように。
末永く幸せを共有できるように、努力をしてください。

お願いします。