特別展「茶の湯」 2017 国宝・重文6椀を解説!

特別展「茶の湯」 東京国立博物館 2017年春 の展示茶碗紹介

最終更新日:2017年4月12日

行ってきました!

特別展「茶の湯」2017 東京国立博物館で観てきたのでレビューとさらに楽しむ方法のご紹介

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特別展「茶の湯」概要

特別展「茶の湯」 公式サイト

2017年春、日本の心である「茶の湯」の銘椀・名品が一堂に会します!

ニュース:東京国立博物館 特別展「茶の湯」

室町時代から近代までの茶の湯の美術を鑑賞し知ることができます。
これほどの規模で集まるのは、37年ぶり!

2017年4月11日(火) ~ 2017年6月4日(日)

東京国立博物館の平成館で開催ということだけで、大規模であることがわかります。

私は若いとき、日本中の国宝や重要文化財を見てまわったことがあります。
今回展示される茶碗は、そのとき見て回ったなかでも最高の品ばかり!

まだ発表されたばかりで、詳しい内容がわかりません。
出品されることがわかるのも、ホームページに出ている6椀のみ。
その6椀の解説を記しておきますので、来年春に是非ご自分の目で確かめてみてください。

展覧会の名前が「茶の湯」なので、お茶碗だけではなく様々な品が出展されることでしょう。
まだ半年以上先なので、出展交渉中の一品もまだまだあると思います。
とても楽しみです。

今まで「茶の湯」や日本文化に興味が無かった方も、騙されたと思って足を運んでみてください。

名だたる武将や茶人たちが愛し、数百年間伝わってきた小さな銘椀たち。
茶碗は「手のひらの中の宇宙」とも称されます。
落とせば粉々に割れる茶碗。
ただの茶碗がなぜひとつの城より価値があると言われたのか、ご自分の目で確かめてみてください。

みどころ 出品される茶碗の紹介

下記6点のほか、重要文化財「唐物茶壺 銘松花」「黒楽茶碗 銘鈍太郎」といった茶器の名品も出展されます。
特に「純太郎」は個人蔵でめったにみることはできません。私も拝見したことがないです。
写真を見る限り、楽3代目ノンコウ作の赤楽茶碗「鵺」のような形の釉薬の剥落がみえます。
これは是非とも見てみたい。

大井戸茶碗 銘 喜左衛門


※根津美術館ホームページより

国宝
所蔵:大徳寺 孤篷庵(京都)
誕生:15-16世紀 朝鮮王朝時代
由来:松平不昧所持
鑑賞:不定期。鑑賞できるのはレアですが、ときどきどこかに出品されています。
みどころ:
井戸茶碗」と呼ばれるジャンルの茶碗の中で最高峰。唯一の国宝指定です。
井戸茶碗は、朝鮮で日用品として使われていた陶器を日本の茶人が「茶器」として見立てたもののひとつです。
井戸茶碗には、「大井戸」「小井戸」「青井戸」などいくつかありますが、「大井戸」はその中でも大きく豪壮でありながら風格を兼ね備えた茶碗です。
枇杷(びわ)色の肌と、高台ふきんのカイラギが見所です。

文化遺産データベース 井戸茶碗 銘喜左衛門

油滴天目茶碗(ゆてきてんもく ちゃわん)


※大阪市立東洋陶磁美術館ホームページより

国宝
所蔵:大阪市立東洋陶磁美術館
誕生:12-13世紀 南宋時代(中国)の建窯
由来:豊臣秀次・西本願寺・三井家・酒井家
鑑賞:普段は公開されていません。不定期な展覧会で公開されています。
みどころ:まるで宇宙をのぞき込むような見込みが、みどころです。
天目」は真横から見ると逆ハの字型の端正な美しい茶碗の形です。
さらにこの油滴天目は、福建省の建窯で焼かれた建盞(ケンサン)という最上級の茶碗です。
天目は鉄の釉薬をかけますが、焼成の際に鉄分が結晶化したしずくが星のように輝いています。
豊臣秀次が所持していました。
佗茶の頂点といってもいいでしょう。

「油滴天目茶碗」はいくつかありますが、これが唯一の国宝指定です。
大阪市立東洋陶磁美術館 油滴天目茶碗ページ

文化遺産データベース 油滴天目茶碗

志野茶碗 銘 卯花墻 (うのはながき)


※三井記念美術館ホームページより

国宝
所蔵:三井記念美術館(東京)
誕生:天正年間(1573年〜1593年) 美濃
由来:冬木家・三井家
鑑賞:三井記念美術館で不定期に公開されています。
みどころ:
日本で焼かれた茶碗で国宝指定は2椀だけ。
本椀はそのひとつ。
「志野焼」と呼ばれる種類の茶碗で文句なしの最高峰。
志野焼は白土を使用し、白い釉薬をかけて焼きます。
桃山時代にわずか20年しか製作されなかった志野焼は、数が少なく希少。
製法も失われていましたが、昭和の名工・荒川豊蔵が復活させ、以降素晴らしい現代志野が製作されています。
肌や土の色と、透けて見える文様、いびつな形がみどころです。


文化遺産データベース 志野茶碗 銘卯花墻

黒楽茶碗 銘 ムキ栗 長治郎作


※文化遺産データベースより

重要文化財
所蔵:文化庁
誕生:長次郎 16世紀
由来:
鑑賞:普段も東京国立博物館で鑑賞できます。
みどころ:
楽茶碗」を千利休とともに創設した初代・長次郎の作品です。
禅の精神や詫びを追求した長次郎のよさが詰まっています。
半筒型の茶碗を四方形にした珍しい茶碗。
楽茶碗の中でも最高峰の「黒楽茶碗」は、1回に1椀しか焼けません。
黒い色は「引き出し黒」と呼ばれ、真っ赤に焼成している最中に鉄鋏で一気に取り出すことで生まれます。
そのため、黒楽茶碗には鉄鋏の跡が残ります。
長次郎の黒楽は「ムキ栗」のほか、「俊寛」「大黒」「東陽坊」も重要文化財に指定。
同じく重要文化財指定の赤楽茶碗「無一物」は、私が特に好きな作品です。
「ムキ栗」は、今の人が見ると小さくてつや消しの黒で四角くてなんだか古くさい小椀にみえますが、
陶磁は千利休と長次郎が創設したまったく新しい前衛的な茶碗でした。
彼らが表現したかったものを感じることも、楽しみ方のひとつです。
ちなみに長次郎が創設した「楽家」は2代目以降は「楽吉左衛門」を襲名し、現在は15代目。活発に活動をされています。

文化遺産データベース 黒楽茶碗(ムキ栗)〈長次郎作/〉

青磁茶碗 銘 馬蝗絆(ばこうはん)


※文化遺産データベースより

重要文化財
所蔵:東京国立博物館
誕生:13世紀 (南宋時代) 中国 龍泉窯
由来:平重盛・足利義政
鑑賞:東京国立博物館で常設展示
みどころ:
龍泉窯は最高峰の窯のひとつです。
青磁茶碗」というジャンルでは、日本国内で最も美しい茶碗だと思います。
非常に美しい姿や色・肌を楽しんでください。
それ以上に特徴となっているのが、名前(馬蝗絆)の由来ともなったかすがい。

底にひび割れがあったため、これを中国に送ってこれに代わる茶碗を求めたところ、当時の中国にはこのような優れた青磁茶碗はすでになく、ひび割れを鎹(かすがい)で止めて日本に送り返してきた。あたかも大きな蝗(いなご)のように見える鎹が打たれたことによって、この茶碗の評価は一層高まり、馬蝗絆と名づけられた。

引用:e国宝 青磁茶碗 銘 馬蝗絆


日本には「金継ぎ」といって、ひび割れたり欠けたりしたところを金で修復し、そこを見所として楽しむ、ときによりさらに価値が高まる、ということがあります。
この馬蝗絆のかすがいは金どころか鉄でくさびを打っただけですが、それがこの茶碗の価値を高めています。
ひび割れたことによってさらに完成した茶碗となった馬蝗絆。
小ぶりで美しい姿、綺麗な肌、かすがい、すべてが調和した最高の一品です。
今回ご紹介の6椀の中では、個人的に一番好きな作品です。

東京国立博物館 青磁茶碗 銘馬蝗絆
文化遺産オンライン 青磁茶碗 銘馬蝗絆

黒楽茶碗 銘 時雨(しぐれ)


※文化遺産データベースより

重要文化財
所蔵:名古屋市博物館
誕生:本阿弥光悦(1558-1637)作
由来:三井家
鑑賞:名古屋市博物館
みどころ:
素地と釉薬がかかったところが絶妙にわかれていて、その様子を「時雨」にたとえた銘椀です。
楽家ではない人が焼いた楽茶碗ですが、本阿弥光悦は例外中の例外。
光悦は京都に芸術家村を築いた芸術家兼プロデューサーのような存在。
日本が誇る芸術家のひとりです。
楽茶碗は、楽家2代目と3代目に直接教えてもらいました。
光悦の作品は国宝指定されているものも多く、同じ楽茶碗の「楽焼白片身変茶碗 銘不二山」は「卯花墻」と並ぶ2椀しかない国産茶碗の国宝のひとつ。
舟橋蒔絵硯箱」も国宝。
楽茶碗も多数つくっており、本作「時雨」と合わせて5椀が重要文化財に指定されています。

名古屋市博物館 黒楽茶碗 銘「時雨」と森川如春庵

文化遺産オンライン 黒楽茶碗 銘時雨