手軽に読める『政治思想史』の入門書であり定番書のレビュー

【書評レビュー】『政治思想史』有斐閣Sシリーズの評価。政治思想を手軽に学べる定番書。

最終更新日:2017年4月9日

大学の専門課程の基本科目をわかりやすく解説した有斐閣Sシリーズの中でも、2008年の段階で24刷も刷られている定番書です。
著者はいずれも、政治思想史の代表的研究者です。

政治思想家の列挙ではなく、政治思想自体に焦点をあてています。
300頁くらいありますが、新書サイズなので分量はそれほど多くないです。

古代から現代までの政治思想の要点をコンパクトにまとめています。
読書に慣れた方なら数時間で読了できます。

政治思想を学ぶ最初の一冊や、簡単に復習するために便利。
他学部の方や、一般教養としての読み物としても、手軽に使える良書です。

『政治思想史』有斐閣Sシリーズ

私の評価 ★★★★☆
ページ数 322頁
著者・編者 小笠原弘親 、藤原保信、 小野紀明
出版社 有斐閣
出版年 1987年
出版社ページ 有斐閣『政治思想史』詳細ページ
目次 ポリスと人間
 1.政治学の始原
 2.理想国家の構想 − プラトン
 3.ポリス政治の総括 − アリストテレス

世界帝国の時代
 1.ポリスの没落とヘレニズム世界
 2.エピクロス派とストア派
 3.ローマの政治思想

キリスト教共同体と政治の世界
 1.キリスト教の登場
 2.アウグスティヌスー「神の国」と「地の国」
 3.中世ヨーロッパ社会の形成と政治思想の動向
 4.トマス・アクィナスー中世政治思想の体系化
 5.中世末期における政治思想の動向

近代国家の誕生
 1.ルネサンスの政治思想ーマキアヴェリとモア
 2.宗教改革ールターとカルヴァン
 3.モナルコマキの抵抗権思想
 4.ジャン・ボダンの主権論

市民革命と社会契約説Ⅰーイギリスを中心として
 1.中世自然法から近代自然法へ
 2.自然権と社会契約説ートマス・ホッブズ
 3.ピューリタン革命の政治思想
 4.リベラル・デモクラシーの定礎者ーロック

市民革命と社会契約説Ⅱーフランスを中心として
 1.自然法の転回ーモンテスキュー
 2.理性の専制ーフランス啓蒙主義
 3.近代市民社会の批判ールソー
 4.理性の再検討ーヒュームとカント

保守と伝統の思想
 1.フランス革命の衝撃ーロマン主義・歴史主義・保守主義
 2.歴史への訴えーバークとコールリッジ
 3.近代の止揚ーヘーゲル

功利と自由の擁護
 1.自由主義の危機ー功利主義
 2.組織化の政治学ーサン=シモンとコント
 3.自由主義の再生−J.S.ミルとトクヴィル
 4.国家の倫理性の回復ーイギリス新理想主義

社会主義の衝撃
 1.初期社会主義
 2.科学的社会主義
 3.レーニンとロシア革命

現代政治思想の展望
 1.歴史としての現代 ウェーバーによせて
 2.政治思想の現代的課題
Amazon
価格 2,160円

自分用覚書としての引用

「ルネサンスは、民衆の生活とは霧はなされたところで展開された運動であったといえよう。これに対して宗教改革は。民衆の意思と日常生活に深く浸透していた宗教のあり方を」(121頁)
グロティウスの自然法定義「自然法は正しい理性の命令であり、それはある行為が理性的かつ社会的な人間の本性に一致するかしないか(中略)この定義において重要な点は2つある。1つは、人間が従うべき道徳規範としての自然法諸規則は、人間の社会的本性を公理としてそこから理性能力に(中略)第2に、(中略)自然法の論証において神意が介入する契機を限定し、宗教的是認を要しない」(146-147頁)
ホッブズの社会契約説は「政治権力を捨象した人間の自然状態をまず設定して、人間の本性を確定しつつ、そこから共通権力の必要を導きだし、ついでに個々人の相互契約による国家の設立を論証する」(151頁)
「ドルバックは、デカルトの「動物機械」の観念を人間にまで拡大したラ・メトリの『人間機械論』(1747)と同様に自然科学的決定論を人間にまで貫徹しようとする」(189-190頁)

210頁挿絵「ジャック・ルイ・ダヴィッド『ホラティウス兄弟の誓い』」

211頁挿絵「カール・フリードリヒ・シンケル『水辺のゴシック大聖堂』」